次の総理大臣は菅さん、そして第三期安倍政権へ
安倍総理の辞任表明を受けて、次の総理大臣を決める自由民主党の総裁選が九月半ば頃に実施される見込みだ。今回は党員投票を省略して行う方向で調整がされているという報道もあり、その場合石破さんの当選はかなり厳しくなるだろう。ご自身の派閥・水月會も19名しか所属しておらず、出馬に必要な推薦人20名をご自身の派閥だけでは確保できない。自由民主党が大変な時に背を向けた石破さんには、恐らく自由民主党国会議員からの人望は絶望的なまでにない。
そうなると、以前から名前が挙がっていた岸田さん一択になると思いきや、菅官房長官が立候補する見通しだという※1。河野防衛大臣も立候補を模索していたが、ご自身が所属する麻生派が菅さんを支持する方針とのことで断念※2。又、同じく出馬を模索していた稲田さんも、どうやら今回は見送るようだ※3。
ここまでくると、最早岸田さんと菅さんの一騎打ちの様相を呈してきた。現在の自由民主党の主要な派閥とその人数は以下の通り。
- 清和政策研究会(細田派):97名
- 志公会(麻生派):56名
- 平成研究会(竹下派):54名
- 志師会(二階派):47名
- 宏池会(岸田派):47名
- 水月会(石破派):19名
- 近未来政治研究会(石原派):11名
- 無所属:64名
第二派閥の麻生派は菅さん支持。二階派と石原派も支持を決め、細田派や竹下派にもその雰囲気がある※4。麻生派・二階派・石原派だけで既に114名。無所属にも菅さんを支持する議員が多いと聞く。仮に無所属のうち半数が菅さんを支持すると146名。
岸田さんが安倍総理(細田派)や青木元官房長官(竹下派に影響力あり)に支援を求めたというから、それで細田派と竹下派が岸田さん支持に回る可能性はあるが、果たしてどうなるか。もし細田派と竹下派がいずれも派閥として岸田さん支持を決めると、それらと岸田派を合計すると198名となり395名の自由民主党のうち過半数を獲得することになる。
しかし菅さんも細田元幹事長(細田派)や青木元官房長官に協力を要請している※5ので、そう簡単にいくとは思えない。思考実験として、細田派と竹下派がどちらも自主投票とし、それぞれ半数ずつ菅さんと岸田さんに投票する、更に無所属の議員も半数ずつ菅さんと岸田さんに投票すると仮定すると、菅さん支持は221~222名、岸田さん支持は154~155名。こうなると、石破派が全員岸田さん支持に回っても太刀打ちできず、菅さんが選出されることになる。
所属議員の多い細田派と竹下派の動きが鍵を握ることになるが、武漢ウイルスに対して現政権から切れ目のない対応を継続すべきという意識が働く現状では菅さん有利のように思える。総理大臣が任期途中で辞任すると後任の総理大臣は前任の任期を引き継ぐので、来年九月までの任期となる。これは菅さんが安倍政権の路線を継承するリリーフとして総理大臣を一年間務めた後、安倍さんがもう一度総理大臣として返り咲く筋書きも現実味を帯びてくるのではないだろうか。
前にも書いたが、安倍総理と同じく長州出身の桂太郎も三度総理大臣を務めた。自由民主党の総裁連続三期までという規定をまた変更することは各所から不当な批判が起こりかねないので、敢えてそれを避けるために安倍総理を一度退任させ、また登板させるという戦術もあり得る。安倍総理は多くの成果を残したが、まだ憲法改正・拉致被害者の全員奪還・領土問題の解決といった課題は道半ばだ。三度目の正直、安倍総理には再々登板していただき、是非これらの諸課題をその手で解決していただきたい。
“次の総理大臣は菅さん、そして第三期安倍政権へ” に対して1件のコメントがあります。