新型コロナ、PCR新規陽性者に外国人が多い?属性情報を有効活用しないと政策を誤る
あまり大きく報じられていない気がするが(私がテレビを見ないからかもしれないが)、群馬県と栃木県にて、PCR新規陽性者のうち外国籍の割合が多そうだと伝えられている。例えば群馬県では、「県内で10~16日の1週間に確認された新型コロナウイルスの新規感染者90人のうち、約7割が外国籍とみられることが県の調査で分かった」という1)。同様に栃木県では、「直近1カ月(8月18日~9月17日)では97人中61人と、60%を上回った」という2)。両県とも、外国人への情報発信をより強化するとのことで、それはそれとして必要なことだろうから対応いただきたいが、これらの情報からはそれとは別の事実も浮かび上がる。つまり、六割や七割の新規陽性者が外国人であるならば、日本人の新規陽性者は三割から四割程度ということだ。県内の日本人居住者と外国人居住者の比率を考慮すれば、陽性率の違いはかなり大きい。これは政策決定にも大いに影響するはずだ。
外国人の新規陽性者が多い理由について、記事ではホームパーティー等の会食機会や、ハグといった挨拶等の習慣が挙げられるのではないかと指摘する。もしそうであるならば、日本人はやはりその生活習慣からして陽性者数が少なく推移することは合理的であり、これが群馬・栃木両県のみならず全国的な傾向としてあるのではないかと推測することも自然である。日本人の多くは外国人と比べて声も小さく、挨拶でスキンシップをとることも少ない。食事に使う箸や茶碗等は使い回すことは稀で、そもそも箸等を使い手掴みしないのでとても衛生的だ。手洗いもこまめにする。こうした要素も少なからず日本人の陽性者数を低く抑えることに貢献しているのであれば、例えばGo To等ももっと日本人に推奨して問題ないだろうし、そうしたメッセージをより積極的に出すことも可能だ。
陽性者の属性を明らかにすることが差別に繋がるという指摘もあるが、それは今残念ながら国籍情報に限らず起きていることであり、問題は国籍を明らかにすることではなく感染症に対して誤った差別をするその態度である。國民が正しく感染症を恐れるための情報提供を政府もメディアも怠ってきた。それをこそ正すべく政府もメディアも情報発信せねばならない。その上で、属性情報を分析しそれを正しく活用することで、真に有効な政策を打つことができる。
1)新型コロナ 10~16日、感染者の7割が外国籍か ハグなど影響 群馬県、6言語で啓発チラシ(産経ニュース 2020.9.19 07:08)