なんでもかんでも温暖化のせいはもう止めよう_カリフォルニア州の山火事

先月半ば頃から発生して大きな被害を出しているカリフォルニア州の山火事。原因として「気温上昇」や「異例の暑さ」が挙げられていたりする1)2)。日本のメディアだけではなく、米國のメディアでも「カリフォルニアで歴史的猛暑」と同様の論調のようだ。こちらのワシントンポストの記事では酷暑と表現して、しかも「人が引き起こした気候変動」と人為的であると断定してしまっている。しかし本当に異常な暑さが原因なのだろうか。
メディアがよく取り上げる大都市ではなく、同じカリフォルニア州でも少し小さい街に目を向けると、今年の夏が異常に暑いというのは嘘だとPaul Homewoodは書いている3)。彼は人為的気候変動に懐疑的な立場で、彼のブログに掲載されているここ100年程度の夏(6月から8月)の気温推移のグラフを見ると、カリフォルニア州のいくつかの街では確かに今年が異常に暑いというのは無理がある。ここ100年で大きな変化なし、というのが実態だろう。


又、気温が過去と比較してそこまで高くないということが分かると、今度は熱波が長く居座り春や秋にも跨っているとメディアが主張するようになっているらしい。Paul Homewoodはこれも否定する。1878年から2019年までの間にロサンゼルスで100℉(約37.8℃)以上を記録した日数をグラフにすると以下のようになるらしい。

これを見ても、特に熱波の時期が長くなっているというようには思われない。
山火事そのものについても、記録的な規模と喧伝されているがそれは1950年以降での話であり、もっと前(欧州人がカリフォルニア州に住み着く前)はもっと大規模な山火事が起こっていたらしい4)。そうなると、近年の大規模な山火事が人為的な気候変動のせいだというのはやはり苦しくなる。勿論これに対しては、消火活動の技術が向上しているので最近はこの程度で済んでいるのだ、という反論もできるかもしれない。
いずれにせよ実際に山火事が大きな被害をもたらしていることは事実なので対処しなければならないのは論を俟たないが、安易になんでもかんでも温暖化とか人為的気候変動に結び付けるのは如何なものか。それを続ける限り根本的な解決策には届かないので、もっと誠実な科学的議論がなされる環境の形成を望むものである。メディアの罪は重い。
1)米カリフォルニア、山火事で12万人避難 熱波で電力逼迫も(日本経済新聞 2020/8/24 18:36)
2)カリフォルニア州の焼失面積、東京の6倍に 山火事拡大(朝日新聞デジタル 2020年9月12日 22時00分)
3)Record Heat Claims In California Last Month Are Fake (Sep 9, 2020)
4)California Has Always Had Fires, Environmentalism Makes Them Worse (Sep 12,2020)