腸内微生物と不安や鬱との関係_腸活のススメ

 腸内微生物が如何に不安や鬱症状に影響を及ぼしているか、よくまとまった記事があった。長いので、要点だけ抜き出すと概ね以下のようなところ。

  • 腸内微生物が体内のセロトニン(感情や精神の安定に関与)の約90%を産生している。
  • 生後ストレスにさらされ続けたラットで過敏性腸症候群(IBS)と気分障害を併発。すなわち消化器症状を有する患者の多くがメンタルヘルスの問題を抱えている(逆もまた然り)ことと符合。
  • このストレスのかかったラットでは腸内微生物叢の多様性が減少。
  • 腸内のクロストリジウム属が産生するプロピオン酸はドーパミンやセロトニンの産生を減少させ、ビフィドバクテリウム属は抗炎症作用のある酪酸塩を産生して毒素が脳に達するのを防ぐ。
  • こうした物質は腸から血管を通って脳に至るというよりも、脳腸相関により直接腸から脳へと届く。
  • ストレスにさらされたマウスにビフィドバクテリウム属を5週間投与したところ、それらのマウスはより活動的になり好奇心が増した(つまり精神的に良い作用があった)。
  • 不安や鬱の症状を呈するマウスの糞便を健康なマウスに移植したところ、その移植されたマウスは気分障害を示すようになった。これと同じことが鬱病のヒトの便を移植したマウスでもみられた。
  • 反対に、健康な動物の糞便をストレスにさらされたマウスに移植したところ、そのマウスの落ち込みが軽減された。
  • まだ試験の規模は小さいが、ビフィドバクテリウム属やラクトバチルスといった微生物を摂ることでヒトでも鬱症状が改善したり、不安感が軽減したりといった結果が得られ始めている。

 マウスやラットで得られた結果が実際にヒトにおいて一般的に応用されるのはまだ先の話だろうが、ヒトを対象とした小規模な試験は既に行われており、ヒトにおける色々な腸内微生物の役割が示されるのも時間の問題だろう。特にこの記事にて有益と紹介されていたビフィドバクテリウム属やラクトバチルスは我々も容易に摂ることができる。例えばヨーグルト。一般的にヨーグルトにはラクトバチルスが種菌として用いられており、ビフィドバクテリウム属も乳酸を産生して酸味を加えてくれるのでヨーグルトを作る際に添加されることが多い。その他にもこれらの微生物は一般的に食品の醗酵に寄与することが知られているので、醗酵食品を日常的に摂ることはかなり有益であろうと思われる。

 私はほぼ全ての食事で醗酵食品を摂るようにしており、中でも毎日欠かさず摂る醗酵食品の組み合わせを勝手に己の「腸活ポートフォリオ」と名付けている。私の腸活ポートフォリオについてはまた別途書きたい。いずれにせよ、ヨーグルトを毎日摂ることは(ヨーグルト嫌いでなければ)そこまで難しいことでもないので、是非多くの方にお勧めしたい習慣である。

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