腸内微生物叢と睡眠時無呼吸症候群_腸活のススメ

 気になる論文を発見。無呼吸症候群では腸内微生物叢が変化していて、その腸内微生物叢を正常に戻す(あるいは近付ける)ことで無呼吸症候群を改善できる可能性があるという内容1)。私もどうやら無呼吸症候群予備軍の可能性があるようなので、これは見逃せない。

 閉塞性睡眠時無呼吸(睡眠時無呼吸症候群の九割程度がこのタイプのよう2))が腸内微生物叢の多様性や構成を変化させるというのは以前から指摘されていたらしいが、それを実際にマウスを用いた実験で明らかにしたもの。普通の環境で六週間飼育したマウスと、同じく六週間断続的な低酸素症にさらしたマウス(これにより閉塞性睡眠時無呼吸を模倣)とからそれぞれ糞便を採取し、それら糞便を別のマウスたちに移植。そうしたところ、低酸素症にさらされたマウスの糞便を移植したマウスの群では、睡眠時間が延び、覚醒時間においてより頻繁に眠るようになった。つまり、眠気が増したことが示唆された。

 ここから推察されることは、閉塞性睡眠時無呼吸により腸内微生物叢が変化すること、そしてその変化した腸内微生物叢は健康なマウスにおいて睡眠の質に影響を及ぼすということ。腸内微生物叢の変化そのものが重要なのか、腸内微生物が産生する代謝物が変化することが重要なのかは本研究からは分からないが、いずれにせよこれは腸内微生物叢が脳腸相関により睡眠の質に影響していることを示唆する。この辺りの機序が更に解明されると、閉塞性睡眠時無呼吸の標準治療に加えてプロバイオティクスやサプリメントを摂ることでより効果的に症状改善が見込めるかもしれない。今後の研究に期待。

 しかしこうした研究に触れて改めて感じるのは、健康に過ごすために腸内環境や腸内微生物叢が如何に重要かということ。醗酵食品が溢れる日本の食卓は最強だ。

 

1)Badran et al., Exp Neurol. 2020;334:113439.

2)https://659naoso.com/sas/reason

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